辨 |
次の二を区別することがある(『改訂新版 日本の野生植物』)。
キクバヒヨドリ var.makinoi(E.chinense var.dissectum, E.laciniatum var.dissectum)
有性生殖を行う二倍体。本州(静岡以西の太平洋側)・四国・九州・漢土(東部)産。
高(0.1-)0.3-0.5(-1.0)m、葉は濃緑色で様々な程度に分裂。
オオヒヨドリバナ var. oppositifolium(E.chinense var.simplicifolium
f.eglandulosum, E.chinense var.oppositifolium)
無融合生殖を行う倍数体。分布域全域に産。
高0.5-1.6m、葉は淡緑色で分裂しない。
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漢土南部(華東・兩湖・兩廣・西南)に分布するシナヒヨドリ E. chinense(華澤蘭・蘭草・大澤蘭・多鬚公・六月霜)と同一種とされていたが、別種である。
また、臺灣の山地に産するトウザンヒヨドリ E. tozanense は同一種とされるが、はっきりと区別される(以上、『改訂新版 日本の野生植物』)。 |
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ヒヨドリバナ属 Eupatorium(澤蘭 zélán 屬)には、歐亞・北米に約45-60種がある。
ミカエリヒヨドリバナ E. amabile(多花澤蘭) 臺灣産
E. cannabinum (西藏澤蘭・大麻葉澤蘭) 歐洲・北西アフリカ・西&中央アジア産 『中国本草図録』Ⅳ/1886
イトバヒヨドリ E. capillifolium 北アメリカ原産
シナヒヨドリ E. chinense (華澤蘭・蘭草・大澤蘭・多鬚公・六月霜・白頭翁)
安徽・浙江・福建・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産 『全國中草藥匯編 上』p.379
『雲南の植物』224・『中国本草図録』Ⅸ/4370・『中国雑草原色図鑑』250
タイワンヒヨドリ E. formosanum(var.quasitripartitum, E.cannabium subsp.asiaticum;
臺灣澤蘭) 臺灣産
ヨツバヒヨドリ E. glehnii(E.chinense subsp.sachalinense)
E. heterophyllum (異葉澤蘭・紅升麻)
四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅰ/0381・『雲南の植物』224
ソオウヒヨドリ E. hualienense
フジバカマ E. japonicum (E.fortunei;白頭婆・澤蘭・圓梗澤蘭・山蘭・不老草)
サケバヒヨドリ E. laciniatum (E.chinense var.angustatum sensu H.Hara)
サワヒヨドリ E. lindleyanum (林澤蘭・白鼓釘・尖佩蘭・佩蘭・澤蘭)
『中国雑草原色図鑑』250
サワヒヨドリ var. lindleyanum
ホシナシサワヒヨドリ f. eglandulosum(E.lindleyanum var.eglandulosum;
無腺林澤蘭)
ハマサワヒヨドリ var. yasushii
シマフジバカマ E. luchuense(琉球澤蘭)
キールンフジバカマ var. kiirunense(E.kiirunense;基隆澤蘭)
ヒヨドリバナ E. makinoi(E.chinense var.oppositiflorum)
キクバヒヨドリ var.makinoi(E.chinense var.dissectum, E.laciniatum var.dissectum)
オオヒヨドリバナ var. oppositifolium(E.chinense var.simplicifolium
f.eglandulosum, E.chinense var.oppositifolium)
E. odoratum(飛機草) 兩廣・雲南産 『全國中草藥匯編 上』pp.70-71
ツキヌキヒヨドリ E. perfoliatum
E. rotundifolium(馬鞭草澤蘭・圓葉澤蘭) USA中・東部産
シマダヒヨドリ E. shimadae(毛果澤蘭)
タシロヒヨドリ E. tashiroi(木澤蘭)
クスクスバカマ var. gracillimum(E.clematideum var.gracillimum)
トウザンヒヨドリ E. tozanense(E.chinense var.tozanense;土場白頭婆)
ミツバヒヨドリバナ E. triaprtitum(E.chinense var.tripartitum,
E.japonicum var.tripartitum;三裂葉白頭婆)
ヤマヒヨドリバナ E. variabile
ヤクシマヒヨドリ E. yakushimense
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キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
和名は、ヒヨドリが南に渡るころに花がさくことから。なお、ヒヨドリの渡りは9-10月。
ただし牧野は「ひよ鳥ノ啼ク時節ニ咲クヨリ此和名アリ」(『牧野日本植物図鑑』)と。 |
漢土における蘭(ラン,lan)という語の変遷について、また日本におけるその訓読の歴史について、ランの訓を参照。 |
属名 Eupatorium は、ギリシア語のエウパトリオンから。
ポントス Pontus(小アジアの黒海沿岸にあった古代王国)の王エウパトール Eupator(ca.132B.C.-63B.C.)の名に因む。彼は、初めてこの仲間の草を薬用に用いたという。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・漢土に分布。
花は白色(まれに紫色を帯びる)。葉には香りが無い。 |
誌 |
漢名を澤蘭という生薬に、シロネがある。 |