ひよどりばな (鵯花) 

学名  Eupatorium makinoi (E.chinense auct. non L.)
日本名  ヒヨドリバナ
科名(日本名)  キク科
  日本語別名  オオヒヨドリバナ
漢名  
科名(漢名)  
  漢語別名  
英名  
2012/08/28 長野県 茅野市北山

2007/07/19 森林公園

 2023/09/19 長野県入笠山

2006/08/28 殿が谷戸公園

 次の二を区別することがある(『改訂新版 日本の野生植物』)。

  キクバヒヨドリ var.makinoi(E.chinense var.dissectum, E.laciniatum var.dissectum)
         
有性生殖を行う二倍体。本州(静岡以西の太平洋側)・四国・九州・漢土(東部)産。
         
高(0.1-)0.3-0.5(-1.0)m、葉は濃緑色で様々な程度に分裂。
  オオヒヨドリバナ var. oppositifolium(E.chinense var.simplicifolium
         f.eglandulosum, E.chinense var.oppositifolium)
         
無融合生殖を行う倍数体。分布域全域に産。
         
高0.5-1.6m、葉は淡緑色で分裂しない。
    
 漢土南部(華東・兩湖・兩廣・西南)に分布するシナヒヨドリ E. chinense(華澤蘭・蘭草・大澤蘭・多鬚公・六月霜)と同一種とされていたが、別種である。
 また、臺灣の山地に産するトウザンヒヨドリ E. tozanense は同一種とされるが、はっきりと区別される(以上、『改訂新版 日本の野生植物』)。
 ヒヨドリバナ属 Eupatorium(澤蘭 zélán 屬)には、歐亞・北米に約45-60種がある。

  ミカエリヒヨドリバナ E. amabile(多花澤蘭)
臺灣産
  E. cannabinum (西藏澤蘭・大麻葉澤蘭)
 歐洲・北西アフリカ・西&中央アジア産 『中国本草図録』Ⅳ/1886
  イトバヒヨドリ E. capillifolium
北アメリカ原産
  シナヒヨドリ E. chinense (華澤蘭・蘭草・大澤蘭・多鬚公・六月霜・白頭翁)
         安徽・浙江・福建・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産 『全國中草藥匯編 上』p.379
        
『雲南の植物』224・『中国本草図録』Ⅸ/4370・『中国雑草原色図鑑』250
  タイワンヒヨドリ E. formosanum(var.quasitripartitum, E.cannabium subsp.asiaticum;
         臺灣澤蘭)
臺灣産
  ヨツバヒヨドリ E. glehnii(E.chinense subsp.sachalinense)
  E. heterophyllum (異葉澤蘭・紅升麻)
         
四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅰ/0381・『雲南の植物』224
  ソオウヒヨドリ E. hualienense
  フジバカマ E. japonicum (E.fortunei;白頭婆・澤蘭・圓梗澤蘭・山蘭・不老草)
  サケバヒヨドリ E. laciniatum (E.chinense var.angustatum sensu H.Hara)
  サワヒヨドリ E. lindleyanum (林澤蘭・白鼓釘・尖佩蘭・佩蘭・澤蘭)
         『中国雑草原色図鑑』250
    サワヒヨドリ var. lindleyanum
      ホシナシサワヒヨドリ f. eglandulosum(E.lindleyanum var.eglandulosum;
         無腺林澤蘭)
    ハマサワヒヨドリ var. yasushii
  シマフジバカマ E. luchuense(琉球澤蘭)
    キールンフジバカマ var. kiirunense(E.kiirunense;基隆澤蘭)
  ヒヨドリバナ E. makinoi(E.chinense var.oppositiflorum)
    キクバヒヨドリ var.makinoi(E.chinense var.dissectum, E.laciniatum var.dissectum)
    オオヒヨドリバナ var. oppositifolium(E.chinense var.simplicifolium
         f.eglandulosum, E.chinense var.oppositifolium)
  E. odoratum(飛機草)
兩廣・雲南産 『全國中草藥匯編 上』pp.70-71
  ツキヌキヒヨドリ E. perfoliatum
  E. rotundifolium(馬鞭草澤蘭・圓葉澤蘭)
USA中・東部産
  シマダヒヨドリ E. shimadae(毛果澤蘭)
  タシロヒヨドリ E. tashiroi(木澤蘭)
    クスクスバカマ var. gracillimum(E.clematideum var.gracillimum)
  トウザンヒヨドリ E. tozanense(E.chinense var.tozanense;土場白頭婆)
  ミツバヒヨドリバナ E. triaprtitum(E.chinense var.tripartitum,
        E.japonicum var.tripartitum;三裂葉白頭婆)
  ヤマヒヨドリバナ E. variabile
  ヤクシマヒヨドリ E. yakushimense
   
 キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。  
 和名は、ヒヨドリが南に渡るころに花がさくことから。なお、ヒヨドリの渡りは9-10月。
 ただし牧野は「ひよ鳥ノ啼ク時節ニ咲クヨリ此和名アリ」(『牧野日本植物図鑑』)と。
 漢土における蘭(ラン,lan)という語の変遷について、また日本におけるその訓読の歴史について、ランの訓を参照。
 属名 Eupatorium は、ギリシア語のエウパトリオンから。
 ポントス Pontus
(小アジアの黒海沿岸にあった古代王国)の王エウパトール Eupator(ca.132B.C.-63B.C.)の名に因む。彼は、初めてこの仲間の草を薬用に用いたという。
 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・漢土に分布。
 花は白色
(まれに紫色を帯びる)。葉には香りが無い。
 漢名を澤蘭という生薬に、シロネがある。

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